妊娠中は、赤ちゃんに栄養を送らなきゃいけないために、どうしても太ってしまう傾向に。授乳によってある程度は体重が減るものの、育児に追われて忙しく過ごしていたら半年や一年はあっという間に過ぎてしまいます。また、授乳中のダイエットに対して抵抗がある方も多いのではないでしょうか。産後太りの原因を知り、身体に適したダイエットをすれば、健康的に元の体重に戻すことができます。
出産後は、慣れない赤ちゃんのお世話、授乳、家事・・・
あっという間に一日は終わり、夜中も数時間おきに授乳・・・
「自分のことなんてとても余裕がない!」
という方がほとんどだと思います。
産後の時間は赤ちゃんとのかけがえのない大切な時間でもありますが、適切な体重管理はこれからのママの健康のためにも大切なことです。
もちろん過激なダイエットはNGですが、ポイントを抑えて無理のないダイエットを子育てと並行して行っていきましょう。
ダイエットのチャンスは、産後1〜6ヶ月まで!
産後の体型は、約6か月で定着するといわれています。つまり、6か月を過ぎてしまうと頑張ってダイエットに励んでもなかなか体型を変化させることが難しくなります。ただし、産後は妊娠・出産を経て、ホルモンバランスや精神状態が目まぐるしく変化している時期ですから、無理をしてはいけません。産後の1か月検診で、身体が順調に回復していることが確認できた後、体調や子育て状況を見ながらダイエットをスタートさせましょう。
産後の方が痩せやすい?
妊娠中は、出産に控えたホルモンバランスの変化によって、脂肪や水分を蓄えやすくなっています。そのため、普段太りにくい体質の人であっても、妊娠中は太りやすくなります。しかし、産後はホルモンバランスも徐々に元に戻っていくので、普通にしていればある程度までは自然に脂肪を落としていけるのです。また、妊娠中に付いた脂肪は普通の脂肪とは性質が違い、水分を多く含んでいるため燃焼しやすいです。しかし、産後6か月以上経つと、その脂肪は通常の落としにくい脂肪へと変わってしまうのです。体型を戻すのは産後6か月以内に!と言われているのは、脂肪の落としやすさが大きく関係しています。
産後太りの原因
産後は痩せやすい体質になるにも関わらず、なぜ産後太りは起こってしまうのでしょうか。これには次の3つの原因が関係している場合が多くあります。
- ストレスが溜まりやすい
- 基礎代謝が低下している
- 妊娠中の食習慣が抜けない
つまり、子育てに追われて運動量が少ない割に、摂取カロリーが多くなりすぎてしまっていることが多いです。そして、無理な食事制限は、さらなるストレスの原因になってしまう可能性もあります。
糖質制限と母乳の関係
授乳期の食事制限は、何よりも母乳への影響が心配ですよね。ストレスも溜まりやすい時期ですので、むやみやたらに食事制限するのは禁物です。しっかり知識を入れた上で、無理の無いペースで行っていくことが大切です。
「食べない」のではなく「控える」
少し前に大流行した「炭水化物ダイエット」。
炭水化物や糖質の摂取量を極端に制限することで活動のエネルギー源を体内でまかなうというものでした。
身体に蓄積している余分な体脂肪を、糖質の替わりにエネルギー源として利用するダイエット方法です。
減量効果は高いですが、授乳中ママにはおすすめできません。炭水化物を全く摂取しないと、母乳を作るための原料さえも減ってしまう心配があるためです。母乳の出が悪くなり、赤ちゃんの栄養不足にもつながります。ママにも赤ちゃんにも大きな負担に・・・。
大切なことは、摂りすぎないこと。糖質は摂りすぎると母乳が詰まったり、母乳の質にも悪影響を与える原因となります。
例えば、妊娠中に甘いものを我慢していた反動で、甘いものを食べ過ぎてしまうと、乳児湿疹などを引き起こす可能性もあります。
授乳中のママが必要な栄養をしっかり摂りながら体重を減らすためには、無駄な糖質や脂質を適正量に抑えるのが最も効果的です。
糖質はどれくらい控えればいいの?
糖質は、消費量より摂取量が多い場合に、余った分が脂肪となって体に蓄積されます。そのため、摂りすぎると肥満の原因となってしまいますが、糖質自体は体を動かすエネルギー源となる大切な栄養素ですので、あくまでも摂取量をコントロールすることが重要です。
糖質制限は、制限量に応じて3段階に分類されます。自分に合った糖質制限量からスタートしてみましょう。
【糖質制限量について詳しい記事はこちら】
【2016年最新版】これを見ればOK!糖質制限ダイエットの全てが分かる
糖質制限ダイエットは、控えるのは糖質のみで、その分たんぱく質や脂質をしっかり補給することで栄養量をカバーしていきます。全体的な食事量を減らすダイエット法とは違い、空腹に耐える必要がなく、ストレスを感じにくいことが特徴であり、授乳中のママにはオススメのダイエット法です。
食事のポイント
早食いや遅い時間帯の飲食など、同じ料理であっても食べ方や食べる時間帯によって結果は全く変わってきます。食事の基本的なポイントから、授乳中に強化したい栄養素までを紹介していきます。
食事を小分けにして、よく噛んで食べる
むやみに食事制限をしたり、ダイエットを過激に頑張りすぎてしまうと、体調を崩してしまったり母乳の質を落としてしまう原因にもなります。
ただでさえ授乳中は、通常必要なエネルギー量に+600kcalが必要だとされていますので、食事量を極端に落とすのはリスクが高いです。
授乳中はママにとっても赤ちゃんにとってもしっかり栄養を補給する必要がありますが、子育て中は空いた時間に急いで食事を済ませがちになります。早食いは肥満の原因ですので、できるだけ1日の食事回数を分散させて、こまめに栄養を補給していきましょう。また、一回の食事量が少なくなることで、よく噛んで食べる意識も持ちやすくなります。
和食中心の食生活を心がける
脂質や糖分が多い食事をすると、母乳が詰まりやすくなり、乳腺炎を引き起こす原因となります。和食は高たんぱく・低カロリーなメニューが多いだけでなく、脂質や糖分も少なめです。ただし、魚の煮付けや煮物など、調味料を多く使った料理はできるだけ避けましょう。むくみもダイエットの大敵なので、薄味を心がけることも大切です。
1日2リットル以上の水分
食事の際は水分をしっかり摂りましょう。母乳の約9割は水分ですので、欠かせません。1日の摂取量は最低2リットル以上を目指して水分不足にならないよう気をつけましょう。
鉄分
分娩での出血や悪露によって、産後は貧血になりやすいです。母乳は血液から作られるので、貧血にならないように食事からしっかり鉄分を補給しましょう。
小松菜、ほうれん草、レバーなどは鉄分を多く含みます。鉄は吸収されにくいので、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂るようにしましょう。
【朝食にグリーンスムージーを取り入れるのもオススメ】
果物に含まれるビタミンCが小松菜やほうれん草の鉄分の吸収をアップさせます。水ではなく豆乳を使えば、たんぱく質も補給できるのでさらにオススメです。
カルシウム
カルシウムは母乳を通して赤ちゃんに優先的に運ばれます。そのため、しっかり補給しておかないと、ママの骨密度が低下し、骨粗鬆症の原因になります。カルシウムは牛乳やヨーグルト、あゆ、しらす、青梗菜に多く含まれます。女性の9割はカルシウム不足であると言われていますので、意識して補給していきましょう。母乳が詰まりやすい人は乳製品よりも、小魚や豆製品からカルシウムを摂るようにすると良いです。
運動
出産は、全治8か月の大怪我をした時と同じくらいカラダに大きな負担がかかっています。また、休む間もなく1日中赤ちゃんのお世話に追われますから、体力の回復にも長く時間がかかる場合がほとんどです。確かに産後6か月以上経つと体型を変化させづらくはなりますが、慌てて運動をはじめる必要はありません。出産後のカラダは出産前のカラダとは全く変わった状態ですので、慌てずにできるところから少しずつ進めていきましょう。
産褥体操からはじめる
産褥体操とは、産後すぐからはじめることができるストレッチ運動です。産後は、軽度のストレッチでも十分効果を得ることができます。筋肉が鍛えられる、血行が良くなるといった効果があり、静脈瘤の改善や血栓予防、悪露の排泄、子宮収縮の効果が期待できます。習慣づけて行っていくことが大切です。
ウォーキング
産後1か月程度が経ち、赤ちゃんも一緒に外出できるようになったら、スリングやベビーカーを使って赤ちゃんと一緒にウォーキングを楽しみましょう。有酸素運動は、全身に酸素を送り込み、脂肪を燃焼してくれます。産後は筋肉が落ち、体力もかなり弱まっているので、定期的なウォーキングはダイエットだけでなく体力の回復にも効果的です。また、外の新鮮な空気を吸ってゆっくり景色を楽しみながら歩くことで、育児の疲れを少しでもリフレッシュしてストレスを溜めないように心がけましょう。
骨盤の歪みを整える
出産によって広がった骨盤は、産後3〜4か月かけて左右交互に少しずつ縮み、元の位置に戻っていきます。骨盤が歪んでしまっていると、骨盤があるべき位置に戻ることができず、骨盤周辺の血流が悪くなります。血流が悪くなると脂肪の燃焼が上手くいかず、太りやすいカラダになってしまいます。骨盤ベルトを利用したり、整体やマッサージなどで強制してもらう、ヨガやピラティスの教室に通ったりするのもオススメです。しかし、育児に追われてそんな余裕は無い!という方がほとんどだと思います。そこで、ご自宅で簡単にできる運動をご紹介します。
【骨盤スクワット】
骨盤スクワットとは、股関節周辺を伸ばし、骨盤を支えるインナーマッスルを鍛えるエクササイズです。ダイエットの効果だけでなく、姿勢を正す、月経異常の解消、便秘の解消、自立神経を整える、バストアップ、肩こりや腰痛の改善など、様々な嬉しい効果が期待できます。
まとめ
妊娠で増えた体重を適切な体重に戻し、健康でいることはママにも赤ちゃんにとってもとても大切です。しかし、無理なダイエットをしてしまうと健康を害する危険性もあります。人のカラダはもちろん一人一人違いますし、出産の形もそれぞれですので、産後のダイエットも自分に合った方法で無理なく行うことがとても重要です。出産の疲れに加え、慣れない育児でストレスも溜まりやすくなっていますので、できるだけストレスにならないよう、ストイックになりすぎずに楽しみながらダイエットをすることを心がけていきましょう。短期的なダイエットもカラダに大きな負担となりますので、長いスパンでゆっくりと妊娠前のカラダを取り戻していくことを目標にしましょう。
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